「福田−安保理論」をベースにした、自律神経と免疫に関する話を集めてみました

福田−安保理論とは

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福田−安保理論とは

共同研究の始まり

1994年の12月のことです。新潟市在住の外科医の福田稔先生が、「冬の晴れた日には、手術が必要な『壊疽性の虫垂炎』(重症)が多く、趣味のゴルフに行けない」という謎を解くため、安保徹先生(当時:新潟大学医師学総合科教授、現:新潟大学名誉教授)に会いに行ったことから2人の共同研究が始まりました。

福田先生が集めた1年2カ月間の、57例の虫垂炎の重症度(重症:壊疽性虫垂炎、中程度:蜂窩織炎性虫垂炎、軽症:カタル性虫垂炎)からわかったことは、気圧が高い冬の晴れた日に重症の虫垂炎の割合が高く、気圧が低い夏場や天気の悪い日に中程度の蜂窩織炎性虫垂炎の割合が高いことです。気圧が年平均に近いと、軽症のカタル性虫垂炎の割合が多くなっています。

2人の共同研究が始まってからも、福田医師は、毎日の気圧計測を継続しました。また、57例だった虫垂炎の症例を、112例まで増やしました。

安保先生も、気圧計で毎日の気圧測定を開始しました。1カ月間、定時に毎日5回、自分の脈拍を測定しました。低気圧のときは脈拍が少なく、高気圧のときには脈拍が多くなります。脈拍が少ない(徐脈)のは、副交感神経優位の状態です。脈拍が多い(頻脈)のは、交感神経優位の状態です。

さらに、1カ月間、自分の血液を採取し、白血球中のリンパ球と顆粒球の比率を計測しました。低気圧のときはリンパ球の割合が高く、高気圧のときには顆粒球の割合が高くなります。リンパ球の割合が高いのは、副交感神経優位の状態です。顆粒球の割合が高いのは、交感神経優位の状態です。

気圧、リンパ球と顆粒球の割合、自律神経の関係は、以下のようになります。

 気圧  リンパ球と顆粒球の割合  自律神経 
 高気圧  顆粒球が増える  交感神経優位 
 低気圧  リンパ球が増える  副交感神経優位 

顆粒球とリンパ球

血液中の白血球は、顆粒球、リンパ球、単球の3つに分類できます。顆粒球は、サイズの大きな異物(細菌など)から体を守ります。リンパ球は、サイズの小さな異物(ウイルスなど)から体を守ります。また、ガン化した細胞の処理も行います。単球は、顆粒球、リンパ球を働かせる、司令塔の役目を果たします。

顆粒球は異物を処理する際に、活性酸素を放出します。顆粒球の寿命は1〜2日と短く、最後は粘膜上に集まって活性酸素を放出して死んでいきます。体内には、活性酸素を無害化するしくみがありますが、顆粒球が増えすぎると無毒化するしくみが追いつかず、粘膜組織を破壊します。胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの発症原因となります。

交感神経優位になると、交感神経の末端からアドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。顆粒球の膜上には、アドレナリンレセプターがあり、アドレナリンが放出されると顆粒球が増えます。

副交感神経優位になると、副交感神経の末端からアセチルコリンが放出されます。リンパ球の膜上には、アセチルコリンレセプターがあり、アセチルコリンが放出されるとリンパ球が増えます。

まとめると、以下のようになります。

アドレナリンが出る→交感神経優位時の顆粒球増加
アセチルコリンが出る→副交感神経優位時のリンパ球増加

1995年の8月、2人は、リンパ球と顆粒球の割合、自律神経の関係を「福田−安保理論」と命名しました。

自律神経のバランスに影響を与えるのは気圧だけでなく、気温や湿度などの自然条件があります。ただし、自然条件だけではなく、ストレスなど心理的な条件でも自律神経のバランスは影響を受けます。人によって、あるいは同じ人でも状況によってストレスの受け止め方は変わりますが、大きなストレスは交感神経を優位にします。交感神経優位の状態が続くと、炎症性の病気が起こりやすくなります。

反対に、ストレスが少なすぎても副交感神経が優位になりすぎて、アレルギーなどの病気が起こりやすくなります。

自律神経のバランスの乱れを正して病気を予防する

自律神経のバランスと、リンパ球と顆粒球の割合の関係から、病気を発症する原因がわかってきました。さらに、自律神経のバランスを整えることによって、病気を防ぐことや改善することが、自分でできるようになります。今までの生活を見直し、食事、運動、呼吸法などによって、自律神経のバランスを理想に近ずけることができます。

以下のような方は、自律神経のバランスの乱れが生じていると思われます。

●手足が冷える
●首や背中が寒い
●夜眠れない
●夜中に何度も目が覚める
●夜中に何度もトイレに行く
●眠りが浅い
●朝、なかなか起きられない
●朝起きたときに口が渇いている
●食欲がない日が続いている
●肩や背中のこり、はりがある
●汗をかかない
●便秘になる
●やる気がでない
●体を動かすことが面倒だと感じる
●最近、笑っていないと感じる
●顔が紅潮している

このような方は、自律神経のバランスを整えて、血液の流れをよくすることが必要です。交感神経が過度に優位になると血管が収縮し、血液の流れが悪くなって、酸素や栄養を体のすみずみまで十分に運ぶことができなくなります。また、不要な老廃物を体の各組織から回収し、分解して排泄する力が弱くなります。

以下のことを実行して、自律神経のバランスを整え、血液の流れをよくしましょう。血液の流れをよくすることで、病気から体を守る力が高まり、病気になっても早く回復するための自己治癒力(治す力)を高めることができます。

●体を冷やさない(体を温める
●運動して汗を流す
●食事をとりすぎない
●ストレスをため込まない
●よく笑う



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