「福田−安保理論」をベースにした、自律神経と免疫に関する話を集めてみました

森林浴

文字サイズ:

森林浴

リンパ球の比率が理想の値に近づいた

古くからヨーロッパでは、森林の健康に及ぼす効果が着目されてきました。ドイツには、青年時代にかかった結核を自分で治した、カトリック司祭・クナイプが提唱した「クナイプ療法」という自然療法があります。治療の柱の1つとして、森林セラピーが取り入れられています。

ドイツ国内には64箇所の保養地があり、これらに医師が調査・設計を行った森林散策コースがあります。保養地内にある保養宿泊施設のすべてに、医師が往診・常勤できるシステムになっており、社会健康保険が適用されています。

日本でも、森林浴の効果が紹介されています。

本間請子医師の報告を紹介しましょう。

2004年の夏、首都圏に住む10代から70代のボランティア61人に、長野県で1泊2日の森林浴ウォーキングに参加してもらいました。その前後に白血球中のリンパ球と顆粒球の比率、血圧、脈拍などを測定しました。

森林浴ウォーキング前にリンパ球の比率が低かった群(34例)は30.6±6.1%から、森林浴ウォーキング後には34.5±5.5%と上昇しました。森林浴ウォーキング前にリンパ球の比率が高かった群(27例)は37.6±4.9%から、森林浴ウォーキング後には33.6±4.8%と低下しています。

リンパ球の比率が低かった群はリンパ球の比率が高まり、リンパ球の比率が高かった群はリンパ球の比率が低下し、バランスのよい状態に近づいています。森林浴には、自律神経のバランスを整える効果があるといえます(「福田−安保理論」では、最もバランスのよい状態はリンパ球の比率が35〜41%と考えています)。

収縮期の血圧(最高血圧)は、有意に低下しました。

また、アンケ-トでは61人中60人が「とても気分が良い」「 楽しい」と回答したということです。

ガンを撃退するNK細胞の活性を高め数も増やす

2005年に、日本医科大学の李卿講師は、ガンを撃退するNK細胞の活性が高まったことを報告しています。

ストレス状態にある東京都内の会社員の男性12名(37〜55歳)に、長野県で3日間の森林浴を行ってもらいました。森林浴の前後にNK細胞の活性を調べたところ、NK細胞の活性が増強されていたそうです。

独立行政法人森林総合研究所生理活性チーム長の宮崎良文氏(現・千葉大学大学院教授)は、森林部と都市部それぞれに滞在した際の生理的状態の測定を行っています。

男子大学生12名を6名ずつの2班に分け、1日目は長野県などの森林部、2日目は都市部というように、班を入れ替えて唾液や血液などのデータを採りました。

以下の2つが、実験からわかったことです。

・森林部において、リラックスしたときに高まる副交感神経が亢進し、ストレス時に高まる交感神経が抑制される

・森林部において、代表的なストレスホルモンである唾液中のコルチゾールの濃度が低下した

また、独立行政法人森林総合研究所と日本医科大学の共同研究で、東京都内の大学付属病院に勤める健常な女性看護師13名の協力を得て、長野県で2泊3日の森林浴を行いました。

その結果、以下のことが判明しました。

森林浴1日と2日目ならびに7日後に、いずれも森林浴前より有意に高いNK活性を示した。森林浴がNK活性を上昇させ、持続効果があった。

森林浴1日と2日目ならびに7日後に、いずれも森林浴前より有意に高いNK細胞数を示した。森林浴はNK細胞数を増加させ、持続効果があった。

森林浴によるNK活性増加の機序(しくみ)を検討するために、NK細胞内のグラニューライシン、パーフォリン、グランザイム(いずれもNK細胞が、ガン細胞などを殺傷するときに放出するたんぱく質 )のレベルを測定したところ、森林浴1日目と2日目ならびに7日後に、いずれも森林浴前より有意に高いレベルを示した。リンパ球内抗ガンたんぱく質を増加させ、持続効果があった。

・尿中アドレナリンとノルアドレナリンの濃度が減少。一般的に副交感神経が優位の状態(いわゆるリラックス状態)では、尿中のアドレナリンとノルアドレナリン濃度が減少するといわれている。森林浴によるリラックス効果を実証したといえる。

がんばりすぎは禁物

ここで紹介した報告は、あまり運動量が多くならないように、歩行距離を設定しています。慣れない人がハードなコースを歩くと、かえってNK細胞の減少を招いたりします。疲れない程度に、沢のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら、のんびりと歩いてください。

山の天候は変わりやすいので、出かけるときに晴れていても雨具は必ず持参しましょう。転倒やけがを防ぐためにも、手提げではなく、両手が使えるように荷物はリュックに入れましょう。紫外線対策やけがを防ぐために、帽子も忘れずに用意してください。水分はこまめに補充してください。

森林浴

東京近郊では、高尾山(八王子市)、御岳山(青梅市)、埼玉県県民の森(秩父郡横瀬町)、館山野鳥の森(館山市)、真鶴岬(足柄下郡真鶴町)などが、森林文化協会が選んだ「森林浴の森100選」に入っています。大阪近郊では、箕面公園(箕面市)、布引と再度山(神戸市)、大江山の森(加佐郡大江町)などが選ばれています。

ただし、都市部に住んでいる方は、週末ごとに近郊の山に出かけていくのはたいへんです。緑が多い公園で、樹木に接するだけでも効果は得られます。通勤時や昼休みなどに、近隣の公園を活用してみてはいかがでしょうか。明治神宮の森(東京都渋谷区)も、「森林浴の森100選」に選ばれています。



a:631 t:2 y:1

powered by QHM 6.0.4 haik
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional